演劇って、慣用句だ。
近未来ミイラです。
突然ですが皆さんは、「慣用句」をご存知でしょうか。手持ちの国語辞典によると、慣用句とは「二つ以上の単語が連結した結果、それぞれの語に分解しては出て来ない、別な意味を全体として表すもの」と説明されています。「耳を貸す」「魔が差す」「手を取る」などがその例ですね。
今回は役者と演出の方々にフィーリングで慣用句をあてがっていこうと思います。
〈ホット〉
錫蘭リーフ 「頭角を表す」
ちゃうかの舞台でも、さまざまなタイプの役を演じ続けているところが流石の器用さ。加えてその声と身体を最大限に活用したパフォーマンスでお客さんのみならずちゃうか民までもを魅了する機会が増えているため。にゃにゃにゃ〜〜〜。
園堂香莉 「三拍子揃う」
透き通る声、しなやかな動き、イカれたセンスの3つを何食わぬ顔でしれっと持ち合わせているため。今公演のチケットも大変良くて好。全然偏見だけど三拍子の曲好きそう。本当に知らんけど。
海月 「すみに置けない」
今公演でオムニぶりにちゃんと同じ座組になったが、やっぱり面白い人で、親しみやすい脅威であるから。照明チーフ兼別世界線のオペとして、オペ初心者の私をビシバシ指導してくれている。頼もしい。
森々仙入 「弁が立つ」
1対1の会話も上手で話しやすいのはもちろんのこと、複数人いる会話の中でも、良きポイントに良き間で面白い打球を打ち込んでくるから。ラムダが1人いるだけで場が5000ルクスくらい明るくなる。こらそこ、ピンと来ないとか言わない。
黒井白子 「頭を冷やす」
私の所為で今公演も演補から逃げられなかった男。そうした事情とは大して関係なく、平常運転であっても時折過激な思想や厳しい意見を露骨な言葉で表現することがあるため。冷えピタでもプレゼントしようかしら。
和來 「身につまされる」
俗に言うきなこワールドで、周囲の人間ときなこの感性を同化させる能力を持っているため。今回の役といい新人公演の役といい、何かや誰かを受け止めるような立ち位置が板についているし、その温度感がお上手。
粕味 「心を許す」
最近かなり声をかけてくれるから。心を許してくれてるのかなと勝手に思っている。私も許している。今回の役は少しヤなヤツですが、外公に続き役にピッタリ合った若干の毒々しさが醸し出されておりとても良い。
叶イブ 「血も涙もない」
私が仕込みに持ち込むラッコのパペット(愛称は「とろろ」)に近づいたかと思えば、内部に存在する「生」に触れてきたり、見るも無惨な姿に変形させたりと、残虐な行為をする様子が繰り返し確認されているため。周りの人も真似しだし、だいぶ取り返しがつかなくなっている。
水原一PAY 「片鱗を示す」
今回の役、個人的にかなりいいなと感じており、役者としてのなびやの可能性がまた一つ広がったように思えるため。この調子で今後も「少し様子のおかしい役」をたくさんやってほしい。あとなんだその芸名は。役者紹介の画像天才か。
暁レミエル 「箔がつく」
創作物や生活のレベルがめきめき上がっているように見受けられるため。宣美チーフの仕事も全うしており、今公演でもハイクオリティな立て看板を作成してくれた。結構取るに足らない要望ばかり出しちゃったのに、あんなにオシャレなデザインでまとめ上げてくれるなんて。
箏 「身を粉にする」
私が今世紀最大の無理を言ったために突如として演出になったが、ちゃうかで初の演出とは思えないほど的確なダメを出したり、舞台美術の作業と演出としての会議などを両立したりで、とにかく今公演最大の功労者であるため。ごめんなさい。ありがとう。
〈アイス〉
縦縞コリー 「太鼓判を押す」
「近未来ミイラ脚本+主役こり」はまさかの3回目であるから。バケモンだろ。毎度お世話になってます。こりがこの脚本をどう思ってるかをちゃんと聞いた記憶はありませんが、楽しくやってくれていれば嬉しいな。
あろハム権左衛門 「頭が上がらない」
今回はあろハム史上最難関と言ってもいいような役を背負いながら、いつにも増して真剣な態度で公演と向き合ってくれているから。舞台稽古のときに、役に集中していて演出の声が耳に入っていなかったあの瞬間、本当にカッコいいと思った。これマジで。
西峰ケイ 「まんざらでもない」
稽古の初めの頃は(何故かは知らないが)あるシーンを随分やりづらそうにしていたのに、今となってはそのシーンを(詳しいことは省くが)まんざらでもない感じで演じきっていて、それが(不思議なことに)妙に説得力があるから。
衿君 「芸が細かい」
役者としての演技、特に今回はセリフがない際のマイムがはっきりしているという点で芸が細かく、それに加えて、作る映像についても細部まで丁寧に作ってくれるあたりも芸が細かいから。映像のために登場人物の下の名前考えて良いかと聞かれたときには思わず面食らってしまった。
テキストを入力 「世を忍ぶ」
なんか似合うから。実は普段のエピは世を忍ぶ仮の姿で、本物のエピは今回の役のような存在なのかもしれない。あるいは東京行って秋葉原に通っている存在なのかもしれない。そういう不気味じゃない得体の知れなさがある。
こけまる 「異彩を放つ」
創作活動や表現の幅がみるみる広がっており、そのいずれにおいても目を見張るものがあるから。同期の中でも一番将来何してるのかが気になる人。あと苔丸の演技はどんな役でも説得力を感じるからすごい。
白 「引けを取らない」
35期が多い座組の中でも、しっかりと自分のキャラクターを演じながら存在感を放つことができているから。テンションと場の空気感があっていて見やすい。小道具の要望が雑だったためにご迷惑をおかけしました。申し訳ない。
紅みそか 「腑に落ちない」
日々の生活の中で、割と色んなことに対してこう思っていそうだから。知らんけど。ちなみに私としては「つぐみそ」のカップリングはどこか腑に落ちてないところはありますけどねぇ。えぇ。
ミル鍋 「耳が早い」
ちゃうかの全ゴシップを手にしてるんとちゃうか、と思うほどに情報通な感じがするから。建築の話になると早口オタクになるゆにが最近の私のお気に入り。あとしれっと差し入れが自作のお菓子なのすごすぎる。
埖麦 「本腰を入れる」
そろそろ単位の取得にも力を入れてほしいため。ごみむぎとは言いつつ、音響の仕事はちゃんとこなしているし、最近は遅刻も減っているとのことで、やるときゃやる人なのは確か。牧野としての振る舞いが秀逸。むぎのおかげであの場が整ってると感じる。
海泥波波美 「胸が騒ぐ」
アサギという男のやること、考えることに触れるたびにワクワクするから。LINEで演出をお願いするという無礼な始まり方だったが、第二回通しで初めて全体を通して観て、シンプルに良い公演だなと思った。楽しくやってくれてたら嬉しいけど、実際どうなんだろう。
〈共通〉
鞠凸二郎 「さまになる」
今回の衣装メイクがあまりにもまんまであるため。いや「まんま」って何のまんまなんだろう。分かんないけど、でも絶対どっかで見たことある。こういうのをイデアって言うのかしら。もう直ぐ公開されるでしょうが、アレも非常に良かった。
中森ダリア 「舌を巻く」
ビジュアルやら喋りやらが公演ごとにこうもはっきり変えられるのかと、驚かされてばかりだから。唯一無二という言葉がよく似合うなと思う。「鬼の……」のセリフがいっちゃん好き。
雨々単元気 「やぶさかでない」
その優しさと演技の勢いで、どんな役でも無茶振りでもノリノリでやってくれそうな感じがするから。今回はツッコミにもボケにも回るようなオールラウンダーな役柄ですが、上手く乗りこなしている印象。流石。
東愛莉 「丸くおさめる」
明るい雰囲気と笑顔でどんなに殺伐とした空気も緩和してくれそうだから。何度でも言うが、やっぱり裏に狂気が見えるような役が似合う。制作とか広報とか云々の話を僕が一旦完全に忘れていてほんまに申し訳ないので顔ない。
帝京魂 「峠を越す」
稽古の中で役の演じ方について悩みに悩み抜いて、あるときそれを突破して、結果的に役を自分のものにしている感じがするから。今回の役はきっとあの映画を参考にしたのだろうし、その点ではかなり早い時期から方向性が固まっていたんじゃないかと思う。なんなら今公演最推しまである。
演劇って、慣用句だ。
一人の人間や一人の部署だけでは成り立たず、全員が、全部署が連結して、足並みを揃えることで、一人一人に分解しては出て来ないような、特別な意味を、特別な作品を、特別な時間を、全体として表すことができる。
本番まで1週間を切りました。最後までみんなで「のべつまくなし」に走り抜けましょう!